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明るみの花【文豪ストレイドッグス】

第11章 三組織異能力戦争


「もぉ葉琉、痛いよー」

廊下を腰を摩り乍歩く太宰に葉琉は「敦君を苛めた治ちゃんが悪い」と言い放った。二人はある部屋の前で脚を止めた。

「……怖いかい?」

治ちゃんに尋ねられ、少し間を空けて首を横に振る。決心した様に葉琉は扉を開けた。

「葉琉、会いたかったぞ」

「…姐さん」

中には寝台に座っている紅葉の姿があった。

「姐さん……姐さん!」と葉琉は紅葉に駆け寄り抱きついた。紅葉もまるで家族と再会したかの様に葉琉を抱きしめた。

「息災で何よりじゃ」

「姐さんも…元気でよかった」

ぽろぽろと溢れる涙を紅葉が拭った。

「ほれ、もっと顔をよく見せておくれ。また葉月によく似てきたのう」

「当たり前だよ。姉妹だもん」

泣き乍もにっこひと笑う葉琉に紅葉も笑顔になる。太宰はその様子を伺っていたが、部屋を出て扉を閉めた。

「姐さん、ごめんなさい。何も言わずに出て行って。姐さんにはいっぱいお世話になったのに」

「其方を恨んでいると思うたか?私より辛かっただろう葉月が其方の幸せを願っている。私が其れを妨げる訳がなかろう」

ふふっと笑う紅葉に葉琉も自然と笑顔になる。

「ところで、葉琉。太宰とは如何なのじゃ」

急に真剣な表情で話し出す紅葉に葉琉は疑問符が浮かんだ。

「鴎外殿が駆け落ちじゃと云うとったぞ」

「待って!駆け落ち!?私と治ちゃんが!?」

慌てて聞き返す葉琉に次は紅葉の頭に疑問符が浮かんだ。

「何じゃ、違うのか。彼奴の葉琉に対する想いを考えたら事実が如何であれ、駆け落ちと思っていた奴も少なからずいたじゃろ」

「待って、姐さん!私と治ちゃんは友達だよ。それ以上でも、それ以下でもないよ」

紅葉は口元を抑えながら「…流石の私も同情するぞ、太宰」と呟いた。
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