第11章 三組織異能力戦争
ーー翌日、朝
そわそわと落ち着かない様子で仕事を待つ鏡花がいた。仕事を受け取ると敦と一緒に任務へ出て行った。
葉琉はその様子を事務所の窓から見ていた。「頑張れ、鏡花ちゃん」と小さく呟いた。
暫くすると国木田の端末が何かの信号を捉えた。その情報を確認し、険しい顔で立ち上がった。
「如何したの?国木田君」
「鏡花の電話に着信が入った。敦が危ない!賢治、行くぞ!」
「はぁい」
直ぐに飛び出した国木田と賢治の後を葉琉も追おうとした。しかし、それは太宰の手で止められた。
「葉琉、国木田君達が向かったんだ。連絡を待とう」
鏡花の電話に着信が入ったという事は相手はマフィアの可能性が大きい。それは葉琉も判っていた。自分が行くと更に場を混乱させる可能性もある。判っている。だけど…
「ただ待つなんて出来ないよ」
葉琉は太宰を振り切って走り出した。太宰はふぅと息を吐くと「葉琉らしいよ」と言って後に続いた。
場所は判らなかった。しかし、鏡花のお遣い先は判っていたためその周辺を闇雲に探した。
「葉琉、考え無しに行動する癖止めて欲しいのだけど」
太宰は葉琉の後ろで息を切らし乍言った。
「じゃあ探偵社に残ってれば良かったじゃない」
葉琉は余り息の乱れもなく走り続けていた。