第11章 三組織異能力戦争
鏡花と葉琉は二人で敦と谷崎とナオミを探していた。
「ねぇ、鏡花ちゃん。なんか向こうの方騒がしいね。行ってみる?」
「うん」
二人は駆け足でその場に向かった。其処は交差点だった。一つ可笑しい処は交差点の真ん中で座り込む人達が居た事だ。鏡花は何かを見つけると走り出した。
「鏡花ちゃん、待って!」
葉琉は走り出した鏡花を追いかけようとした時、ふと何かを感じた。
(この…匂い)
葉琉は慌てて周りを見回した。そして見つけた。敦と会話をしている相手だ。見間違える筈も無い。其処に居たのはポートマフィアの首領、森鴎外だった。
葉琉はゆっくりと敦の元へ近付いた。鏡花は気付いたのだろう。少し震えている。葉琉は鏡花の肩に手を置いた。
首領は葉琉に気付くとにっこりと笑いかけ、傍にいたエリスを連れて去って行った。
二人が去ると鏡花は葉琉に抱き付いて来た。大きく震え、呼吸も荒い。葉琉は鏡花を抱きしめた。
「鏡花ちゃん、大丈夫。ゆっくり呼吸して。大丈夫、大丈夫だよ」
「鏡花ちゃん?如何したの!?」
敦は慌てて飛んできた。とても心配そうに鏡花の様子をみている。
「敦君、鏡花ちゃんは大丈夫だから谷崎君達を呼んで来て。直ぐに探偵社に戻るよ」
「わ、判りました」
敦は谷崎達を呼びに走って行った。
「鏡花ちゃん、探偵社に戻ろう。ね?」
鏡花は小さく頷いた。
「葉琉さん、皆連れて来ました」
「有難う、敦君。賢治君も無事でよかった。皆、急いで探偵社に戻るよ」
葉琉が焦っているのは誰が見ても判った。誰も何も聞かずに葉琉に言われた通り探偵社に急いだ。