第11章 三組織異能力戦争
ーー翌日、探偵社
「おい、朝刊見たか!」
国木田は血相を変えて事務所に入って来た。
既に太宰、敦、谷崎、ナオミ、葉琉が事務員達とテレビを見ていた。
「報道でもやってるよ」
葉琉はテレビを指して告げた。
『事件現場です!ご覧ください。七階建ての建物が一夜にして消滅してしまいました!一部情報筋では、消滅した建物はポートマフィアのフロント企業が入っており、構成員の事務所として使われて居たとの情報もあります』
「『メッセージ』とは此れか」
「やはり寮にも賢治君は居ません」と谷崎が続けた。
「逆らう探偵社も用済みのマフィアも凡て消す、か」
考え込む太宰の横で葉琉が唇を噛んでいた。薄っすらと血が滲んでいる。太宰はそっと葉琉の頭を抱き寄せた。
「あの時、私が付いて行ってれば賢治君は…」
「大丈夫だ、葉琉。今はできる事をやるしかない」
この緊急事態に国木田が支持を出す。
「谷崎、これ以上単独で動くな。敦と組んで賢治を探せ。太宰は俺と会議室に来い。社長会議だ。葉琉は敵襲に備えて守備に付け。敵と接触しても戦わずに逃げろ!」
その言葉で一斉に動き出した。
● ● ●
葉琉は事務所に残っていた。ナオミは谷崎と敦について行ってしまった。事務員が慌ただしく動いている中、椅子に座り先刻の報道を見ていた。
(このまま共通の敵を、って事になれば良いんだけど…首領がそんな事考える筈も無いよね)
ガチャリと事務所の扉が開いた。そこに立って居たのは鏡花だった。
「鏡花ちゃん、お早う」
「お早う…ございます」
鏡花はきょろきょろと辺りを見回す。
「敦君なら谷崎君とナオミちゃんと賢治君探しに行ってるよ。因みに治ちゃんと国木田君は会議中」
「貴女は?」
「私は待機中」
「……なら私も」
鏡花はちょこんと葉琉の隣に座った。まるでお人形の様に可愛かった。