第8章 ヨコハマの破落戸
葉琉の様子を見ていた太宰は、思い出したようにあっ!と言った。
「なんだ太宰」
「葉琉のプリン食べてしまった」
「「「…」」」
あっけらかんと言う太宰に残りの四人は無言で見つめた。
「俺は知らんぞ」
「国木田君。葉琉が怒ると怖いの知っているだろ」
「だから巻き込むな!俺は知らん!」
「お願いだよ、国木田くーん」
「葉琉の怒りがお前一人で収まるなら安いものだ。諦めて償え」
「えーーー」
その様子を見ていた敦はこそりと谷崎に尋ねた。
「太宰さんと葉琉さんって一緒に住んでるんですか?」
「知りたいかい?」
その声は谷崎からではなく、太宰から発せられた。太宰はにっこりと敦を見ていた。
「え…まぁ」
「一緒には住んでいないよ。部屋が隣でね。しかし私は、一緒に住んでもいいと思っているがね」
最後に何処か切なそうに微笑む太宰。敦は付き合っているのか等も尋ねたかったが、これ以上の質問を止めることにした。触れてはいけないと云う気がしたからだ。
その時、谷崎の電話が鳴った。
「ハイ。……え、依頼ですか?」
その後五人は会計を済ませ、探偵社に戻った。