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明るみの花【文豪ストレイドッグス】

第8章 ヨコハマの破落戸


「そういえば皆さんは、探偵社に入る前は何を?」

敦の質問にその場が静まり返る。その沈黙を破ったのは太宰だった。

「何してたと思う?…なにね、定番なのだよ。新入りは先輩の前職を中てるのさ」

「はぁ……じゃあ…」

敦はチラリと谷崎と、ナオミを見た。

「谷崎さんと妹さんは……学生?」

「おっ中ッた。すごい」

「やるねぇ。じゃあ国木田君は?」

「止せ。俺の前職など如何でも…」

敦は少し悩んでお役人さん?と呟いた。

「惜しい!彼は元学校教諭だよ。数学の先生」

敦は納得の表情を浮かべた後に葉琉の方を見た。

「葉琉さんも歳が近い気がします。学生さん…じゃないですか?」

葉琉は少し眉を顰めてから敦に年齢を聞くと、敦は18歳ですと答えた。

「敦君。私21歳だから」

「…へ?」

谷崎はやっちゃったねーと、国木田は黙って眼鏡を直し、太宰はお腹を抱えて笑っていた。

「え!?でも、凄いお若くないですか!?」

「葉琉は物凄い童顔だからね。あー可笑しい」

「治ちゃんいつまで笑ってるの。私だって気にしてるんだから。未だにお酒だって買えやしない」

ヒーヒーと笑っている太宰を睨むように葉琉は腕を組んだ。太宰はふーっと息を吐くと落ち着きを取り戻したを

「私と葉琉は前職でも一緒だったのだよ」

敦は険しい顔で葉琉と太宰を見比べた。

「想像がつきません…」

「無駄だ小僧。武装探偵社七不思議の一つなのだ。こいつらの前職は」

「最初に中てた人に賞金が有るンでしたっけ」

「そうなんだよ。誰も中てられなくて、懸賞金が膨れがってる」

お金の話がでると敦は恐る恐る金額を尋ねた。

「七十万だ」

その一言で敦の顔色は変わり、その後怒涛の応答が始まった。しかし、何れも正解には届かなかった。葉琉はアイス珈琲を飲み乍、その様子を見ていた。

「敦君。治ちゃんはこの件では嘘吐かないから、頑張ってみてね。じゃあ私帰るね」

「なんだい?葉琉が帰るなら私も…」

「太宰!お前はまだ仕事が残ってるだろ!」

「そうだよ、治ちゃん。私は今日、非番なの。帰ってプリン食べなきゃ」

そう言うとるんるんと喫茶店を後にした。
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