第3章 訓練兵初日・朝
「ん~っ…よく寝たぁー!」
朝の日差しや鳥のさえずりと共に目を覚まし、めいっぱい伸びをする。
『気持ちのいい朝だなぁ~…ってここどこ!?』
身に覚えのない場所に驚き声を上げる。
「おはよう!早く着替えないと朝食食べ損ねちゃうよー!」
「お寝坊さんですね~。それではあなたの分の朝食は私がいただい…」
『いや!私の分は渡さないから!!』
ベッドから飛び降り、辺りを見渡す。見る限りゲーム内で見た自室と同じ所だ。二段ベッドともう1つ下段が机になっているベッドがあり、それぞれのキャビネットやランプなど生活に必要な物があらかた揃っていた。
クリスタとサシャが朝の支度をしている。そっか、これからここで暮らしていくんだ…!
「そういえば言ってなかったね、私とサシャとあなたで同じ部屋になったんだよ!あっ大変、皆もう食堂に集まり始めてる…!」
「ほらほら~!早く着替えてくださいよ!ご飯が逃げてしまいます!」
『起こしてくれてもいいのに~!!』
「ご、ごめんね、あまりにも気持ち良さそうに寝てたから…」
えっと、私のチェストはこれのはず…よしっこれこれ私が設定してた私服!早く着替えなきゃ…
『ごめんね待たせちゃって…』
2人に申し訳なくて俯き気味に謝る。
この世界目覚ましないのかな…というか眠りについた記憶がないんだけど…
「大丈夫だよ!早く行こ行こ!」
「2人とも走りますよー!ぐふふ、お肉は出ますかね~っおっにっく!おっにっく!」
『朝からお肉は流石にないと思う…』
そんなやり取りをしながら自室を出る。
女子と男子別々に部屋が分けられていて、恐らく3、4人ずつで一部屋のようだ。食堂はこの廊下を進んだ先だったはず。他の訓練兵も出てきてその先へ向かっていた。
「ユズちゃんって言うんだよね?私はクリスタ・レンズ。クリスタって呼んでね!」
『うん…!私もユズでいいよ!よろしくねクリスタ!』
「同じルームメイト同士、仲良くしようね!」
ニコッと天使のような微笑みを浮かべるクリスタ。ああぁ…っ眩しい…!
「ほらー!2人とも置いていきますよー!」
サシャ、いつの間にそんな先へ…!
『ま、待ってよ!!』
そうして私とクリスタはサシャを追いかけ、急いで食堂へと走り出した。