第4章 座学の時間
ふぅー、びっくりした…
さっきのあれは何だったんだろう…まだ心臓がバクバクと早鐘を打っている。
痛めた所を確認してくれるのは優しいなと思う反面、本当にそれだけだったのだろうか、と何かに期待する自分が居た。
いや、他に何があるっていうんだ…考えるのはよそう。
「では、教科書10ページを開け。」
教官が授業を始める。えーっと、10ページ…ん?なんか皆の持ってる教科書と中身が違うような…
…うっこれは…持ってくる教科書間違えたやつだ……
「どうしたんだい?」
青ざめていると、ベルトルトさんが気付いて声を掛けてくれた。
『きょ、教科書間違えちゃったみたいで…』
「あぁ…それなら僕のを一緒に見よう。見えるかな?」
そう言いながら私の方へ近付き、教科書を見せてくれた。ち、近い…!ベルトルトさんの体温ががが…
『あ、ありがとう…っ本当に色々とごめんね…』
「構わないよ。」
そう言うと彼はふわ、と優しい笑顔を見せてくれた。
うっかっこいい…
撃沈。
思わず顔を伏せる。不意打ちとかずるいよー…うー熱くなってきた…
「ユズ…だったよね?」
『う、うん!そうだよ!』
びっくりした!私の名前覚えててくれたの…!?嬉しい…っ
『そういえばちゃんと自己紹介してなかったね!私、ユズ・シトラスって言うの。ベルトルトさんだよね?』
「…!よく、覚えてくれてたね。僕の名前覚えにくいだろうに…」
『ふふ、そんなことないよ!素敵な名前だもの。』
「あ、ありがとう…」
するとベルトルトさんは少し顔を赤らめ、頭を搔く。
あっ今のちょっと照れた!?
「ベルトルト・フーバーって言うんだ。さん、は付けなくていいよ。よろしくね。」
「それと俺はライナー・ブラウンだ。」
!?ラ、ライナー!忘れてた…
『よ、よろしく!』
「なんだよお前ら2人で盛り上がりやがってー」
「も、盛り上がってたかな!?」
『わ、私が教科書忘れちゃって!ベルトルトさ…が見せてくれたの!』
「ほー、じゃあこの参考書もないんじゃないか?こっちに来いよ。」
『!?』
そうして2人の間に挟まる形で授業を受けることになった。
な、何この状況…!
集中出来そうにないんですけど…