第2章 幸か不幸か
「あの、大丈夫ですか?」
『───えっ?』
ポニーテールの女の子が、芋を食べてる。蒸した芋だ。
うーん?この子、どこかで見たことあるような気がする…
するとその芋の女の子は、少し困った顔をした末、芋を半分に割っ…あ、かなり大きさが左右非対称に…芋を割った。
「さっきからずっとぼーっとしてますね。お腹が空いているんでしょう?腹が減っては何とやらですよ!これ、半分…どうぞ。」
そう言って明らかに小さい方の芋を私に差し出した。
半分じゃないでしょあなた…!
小さい方でも本当はあげたくないんだろうなぁ、すっごい複雑な顔してるよ…どうしよ、とりあえずこの子の善意だし受け取っておこうかな…何よりほくほくで美味しそう。
『あ、ありがとう…』
私は芋を受け取り、遠慮なく頂く事にした。
あむっ
もぐもぐ……うん!?思ってたよりも美味しい!あーこれにマヨネーズがあれば最高なんだけどなー!!もぐもぐ、もぐもぐ…
私は夢中でこの蒸した芋にかじりついていた。これがまずかったのだ…
「おい、貴様…何をしている…?」
ゴックンッ
…!?
こ、こここのドスの効いた声は…!?
「芋を、食っているのか…?」
芋…って、私が持ってるこの芋の事かな?いやでもさっきくれた子が…あれ、もう全部食べ終わってる!?じゃ、じゃあ…
『もしかして、私の事ですか…?』
「他に誰が居る!貴様だ貴様に聞いているんだ!!」
ひぃー!!私だった!というかよく見れば周りに同じ服を着た少年少女達が整列してるではないですか…!
なんで私も混ざってるの!?しかも同じ服!?
えっと、なんで!?何してたんだっけ私、えっと、そうだ芋の事聞かれてたんだった!
うーん、芋について聞かれた時は確か答え方があったはず…そうだ!
私はパニックになった頭をフル回転させ、返答の言葉を口にした。
『それは、人類はなぜ芋を食べるのか、という事でしょうか…?』
いつの間にか私の目の前に来ていたその[険しい顔をした威圧感の物凄い男性]は、固まったまま私をただ見つめていた。
あー、答え方間違えたかも………