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この恋の騙し方/安室

第3章 紫蘭


首を傾げながら受け取り確認し

「あむ…ろ…とおる……ポアロウェイター?」

見知らぬ人の名前
見知らぬ店舗

住所は知っているがそれだけだった。

「僕の名前ですよ、今の。」

珈琲の入ったマグに口をつけながら今までの経緯を簡単に話した。

「潜入捜査なので降谷零の名前は伏せて安室透として生きてます。
まあ風見とかにはそのまま呼んでもらい安室と降谷を一致させないようにしてますが…」


「私は安室透さんと読んだらいいのですよね?風見さんとの会話の時は降谷さん、と。」

降谷が言い終わるのを見計らい声をかけた。

「はい。その方が助かります。」

「わかりました。あまり接触しない方がいいですよね?」

顔を上げて降谷の表情を確認すると相手は少し悩む素振りを見せた。

「貴女には風見の…。ではなく僕の協力者になってもらうので。そのつもりで」

淡々と話す降谷。

「え…。はい…」

少し戸惑うが頷いた

降谷がソファーを立ちの横に来ると手を頭に置き

「貴女を危ない目に合わせないとは言いきれせん…。
それでも僕の横にいてほしい。」

幸せ。
あの探し回った日々が今こうして報われた気がした。
涙を一筋流して力いっぱい頷く

ぽんぽんと頭を叩き降谷は笑った。






「ではまたLINEしますね」

駐車場まで送って貰いはそのまま警視庁を後にした。


「良いのですか?降谷さん」
物陰から風見が出てきてつぶやく

「話聞いていただろう。組織の事もまだ言えない。
はぁ…なんで探しているんだ……」

困ったような苦笑いをしてそのまま警視庁内に戻っていった。


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困った人だ。
どれほどの思いで貴女の前から居なくなったと思ってる…

こんな風に巻き込みたくありませんでした…。

僕も1人では無くなってしまいましたね。


帰って私服のまま冷水のシャワーを浴び顔を顰めた。
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