第13章 月見草 ~思い~
2台の車が遠ざかるのを笑みを浮かべて手を振り見送った。
「行ったわ。場所は東都水族館。」
『わかった。良くやったな』
赤井の返事と同時に倉庫へ入っていく、ふっとカーディナルは安心したように目を細めた。
「ありがと。」
その一言だけを伝えて通話を終了した。
そっとキールに近づいて手早く処置をしながら口を開き
「バーボン出てきて大丈夫だよ。」と呟く。
キール、カーディナルのいる更に奥
照明の行き届かない所からバーボンは出てきた。
「応急処置だけれど…これで大丈夫」
包帯を巻き使ったものを片付け立ち上がる。
「カーディナル」
呼びかけられてカーディナルは振り返った。
お互い真剣な表情で見つめ合い先に崩したのはバーボンだった。
苦笑いに対してカーディナルは安心したように目を細めて少しだけ表情を柔らかくした。
キールには見えていない2人だけの会話。
長いようで一瞬のこと。
バーボンは何も言わずに倉庫から出ていった。
「キールじゃあ…行くわ」
しゃがみ込みキールの状態が大丈夫だとわかると立ち上がった。
「カーディナル…感謝するわ。
後例の機体を使うとか言っていたから。気をつけて」
キールの目線に合わしてカーディナルは微笑んだ。