第12章 月見草
燃え盛る炎を前に赤井秀一はスマホを片手に
眉間に皺を寄せて眺めていた。
パトカーがどんどん近づいているのが音でわかる
爆発現場から目線をそらし車に乗り込みそのまま去って行った。
キュラソーが動いた。
警察庁に侵入。
それはノックリストを見られたのを意味している。
相手に渡ったのかは確認出来ず
「まずいな。」
と呟き、ハンドルを持つ手に力が入った
一方では写真のデータを処理しマンションに戻っていた。
あの爆発は組織が絡んでいると直感でわかる
不安を汗と一緒に流したくてシャワーを浴びた。
身なりを整えてリビングに戻ってくると私用のスマホが光っているのを見、手に取る。
2件のメール受信
1件目は沖矢昴
2件目は安室透
と表示され勢いよくスマホをタップした。
沖矢からは
来れるなら来て欲しいと
安室からは空白のメールでは首を傾げた。
「昴が呼んでる…」
震える手を左手で押さえ部屋を出ていった。
真っ暗な闇…
指し示す一筋のヒカリ……
目覚めればそこは…
現実?
優しい悪夢を見た気がした。
あの人の瞳は綺麗で
私を導いてくれた。
歩いていく道を。