第7章 アネモネ
「貴女がカーディナル?」
背後から問う声に内心ビクッと心臓がはねた
手に持っていたカップを置き任務だと言い聞かせて後ろを振り向いた。
「貴方がバーボン」
慣れ親しんだ相手がCNでこちらにいることに驚くがバレないようにこころの中におさめた。
「はじめまして。ベルモットの代わりと聞いたのだけれど…私で大丈夫かしら」
くすっと笑い真っ赤なルージュをひいた唇があがる
バーボンは感情のない冷たい笑みを浮かべて膝まづき手を差し伸べた。
「エスコートはおまかせください。マイハニー?」
くすくす笑いながら手を置き2人は恋人のように会場へ向かった。
「はじめまして。お招き頂きありがとうございます」
「おお。君が例の…。いやはやこんなにお若い方が来られるとは。珍しいな…おや横に居られる方は彼女さんかい?」
バーボンが渡した偽の名刺を主催者が受け取りながら横にいるに目を向けた。
「いえ…私の妻です。」
バーボンはくすっと笑いを引き寄せて見せつけるように腰を手をまわした。
「あははっ!!いい夫婦だ。また招待させてもらうよ。今日はゆっくりしていってくれ」
「ありがとうございます。ではまた後ほどお時間ありましたら」
もバーボンも2人息ぴったりにお辞儀をして主催者から離れていった。
夫婦という設定をこなし2人とも完璧なマナーに次々と話しかけられ交流を深めた。
「すごいですね…ここは」
バーカウンターでカーディナルを嗜む。
任務だけれど内心はすぐに逃げ出したくなる。
そう焦りながらも作り笑顔でバーボンと話を進めた。
「では僕は席を外します。」
笑顔で頷く。
バーボンはそのまま離れて会場を後にした。