第5章 コルチカム
「うん。そうだよ…安室さん。その人は?」
に視線を向けて指をさした。
「知人の医師…。少し習ってることがあって教えてもらってるんですよ」
「そうなんだぁ」
高い子供の声が冷たい表情に変わり低いトーンで
「注意してね…この人といるなら。」
とに警戒するよう呼びかけ元の表情に戻り
「そう言えば安室さんもう腕大丈夫ー?」
と続ける。
は少し恐怖を覚えたが心中にしまい込む。
どこまで知っているのだろう。
次回から用心するように気を張った。
「コナン君なんのことかなぁ…?用事があるからまたね。」
「はーい!ばいばーい」
事務所に上がる階段の方に消えていき2人は駐車場へ向かう
「びっくりした…あの子何者なの…」
車に乗り込む前にいつもの敬語も何もかも忘れては言った。
「あの子は怖いですよ。風見に盗聴器をつけるほど…」
「え…。」
顔を上げて怪訝そうに安室を見つめると
冷たい瞳で外を見ていた。
ふ、と思い出したように笑顔で安室が後部座席に手を伸ばし花束をに渡して
「誕生日、おめでとうございます…。」
安室透ではなく降谷零として
本心が伝える。
はびっくりし花束を受け取った後少しの間動けずぼーっと安室を見ていた
「ありがとうございま…」
語尾まで言えずに込み上げてくる涙を止められず花束で顔を隠した。
夕影に映える愛おしいその泣顔を見たくて安室はそっと花束を取りを見つめた。
「はぁ…。ダメですよ。その顔は」
頭をぽんぽんと優しく叩き抱き締めたくなる衝動を懸命に抑えた。
これ以上…
感情を出さないように。
弱さを隠せなくならないように。
そう思っていた。
だけれど、心はそうはいかなくて。
ギリッと奥歯を噛み締めた。
そういえば
警察学校時代あいつらがなにか言っていた。
『守るものがあると…』
強くなる?
弱くなる?
どっちだっただろう…
泣きじゃくるを目の前にそんなことを考えていた。
ハンカチで涙を拭い安室の片手を握りしめ
「ありがとうございます、安室さん」
とグズつきながら笑った。
釣られて安室も笑みを浮かべの右手を握りしめながら出発した