第5章 コルチカム
「スーツ一着ダメにしてしまいましたね…」
私服用のスーツに着替え車に乗り込み忙しなく出発する
途中運転中に花屋を見つけ道端に車を止め店に入っていった。
「いらっしゃいませ」
スタッフが花の束を両手いっぱい持って笑顔で声をかけた。
ふっと目尻を下げ綺麗な花の束を見つめ
「綺麗ですね…」
スタッフにきこえるか聞こえないかの声で呟いた。
「すみません。お待たせしてしまいなにかお探しですか?」
花を作業台に置き駆け足で安室の方に向かってきた
安室は少し考え花を見ながら
「薔薇の花を4本。おまかせで花束つくってもらえませんか?」
「わかりました!4本なのでかすみ草を入れて小さめの花束にしますね。ラッピングもおまかせでいいですか?」
「はい。よろしくお願いします」
一通りの会話を終え10分少々かかると聞き安室は店内を見歩いた。
色とりどりの花に自然と笑みが浮かぶ。
「まさか…俺が本心で花を送ることになるなんて…」
を思い浮かべ花の飾ってあるショーケースの硝子に手を触れクスッとわらった。