第5章 コルチカム
Bluetoothイヤホンから聞こえる風見の声を確認し非常階段を駆け上がる速度を早めた。
バンッ
屋上のドアを開けると共に追っている相手を視界で確認し銃を構え向ける。
「もう逃げられませんよ?」
「ちっ」
「鬼ごっこは終わりにしませんか」
降谷が笑みを浮かべ
犯人の少しの焦りの色さえ見逃さなかった。
刃物を出す犯人を確認すると銃を終い拳を構えた。
「舐めやがって死ね!!」
襲いかかってきた犯人のナイフを持つ手を右手で素早く払い
1歩踏み込み溝落ち目掛けて左手で一撃を食らわす。
「ぐはっ!!」
犯人は力尽来たのを、確認し降谷は手錠を取り出して片腕にかける。
もう片方にかけようとしたその時意識がはっきりした犯人が片方の手でナイフを突きつけた。
「糞がっ!」
瞬時にナイフを払い落とし蹴って遠ざけ両手に手錠をかけた。
「僕達公安を甘く見ないでもらえませんか。」
冷酷な視線を向け凍てつく言葉をなげる。
「降谷さん!」
階段を登る音がどんどん近づきドアから風見が現れた。
「風見、後は任せた」
そう言い残し去ろうとドアへ向かう降谷に
「降谷さん血が。」
と後ろを振り向き風見が叫ぶ。
降谷はそのまま後ろを振り返らず
手だけをひらひら降って降りていった。
「お疲れ様です」
風見の所へ向かう刑事に次々声をかけられた
限られた者にしか知られていない降谷だが時々現場の指揮をとる
最後に言われるこの言葉はいつ聞いても照れくさく鼻を擦った