第8章 ……さよ、なら…?
~紅玉side~
「お兄様…っ」
正直に言うと…
日に日に弱っていく紅覇お兄様を見ているのは、ものすごく辛い。
でも、止めることが出来なかった。
紅明お兄様は今朝、止めていたけれど…
私には、できない。
何故なら、紅覇お兄様の気持ちがわかるから。
私も、何か大切なものが自分の側から消えたら…
きっと、紅覇お兄様と同じことをするって…思っているから。
紅覇お兄様を、止めることができない。
「……ぁ」
「ん…」
「っ紅覇様!!」
「お兄様っ!
良かったですわぁ、目が覚めて…」
紅覇の部屋。
紅玉と魔導師たちは、紅覇が倒れてからずっと付き添っていた。
今はもう、ある程度の人は昼食を済ませている時間だ。
「ここは…」
「お兄様のお部屋ですわぁ。
びっくりしましたのよぉ?いきなり倒れたんですものぉ。」
「………っ!ルナっ」
「駄目ですわぁっ!!」
「いてっ!」
起き上がって、また外へ出ようとする紅覇を、紅玉は止めた。
…いや、殴り倒した。
と、止められたわ…私、お兄様を止められたわぁっ!!
拗ねる紅覇とは正反対に、紅玉は心の中で舞い上がった。
「紅炎お兄様にも紅明お兄様にも、言われましたわっ!
しばらくの間、紅覇お兄様の外出は禁止ですっ!!」
「っはあ!?何でそうなるのぉっ!?」
「睡眠不足で、さらに栄養不足っ!!それで先ほど、倒れたんですのよぉっ!?」
「うっ」
「完全に回復するまで、禁止ですわぁっ!!」
ビシッと人差し指を向け、紅玉は紅覇を黙らせた。