第8章 ……さよ、なら…?
「……」
ルナ…
「……」
どこにいるの…ルナ……
「…───」
僕を一人にしないで……
「…──は、紅覇っ!」
「……なに、明兄」
朝食時。
虚ろになっていた目を隠すように、一度だけ瞬きをした。
そして、眉間にシワを寄せる明兄の目を見る。
「…大丈夫ですか?
あまり、食べていないようですが…」
「…あー、うん…あんまりお腹空いてないから──」
僕が目覚めて…
ルナが居なくなって、4日目の朝を迎えた。
食事もまともにとれなくて…いや、喉を通らないんだ。
"食べてる暇があるなら、ルナを捜さないと──"
僕の心が…全身が、そう言っているような気がして…
まともに寝ることもできなくて…。
僕を心配する人が、日に日に多くなっていく。
「紅覇お兄様…」
「…ハァ…ごちそうさま。」
「もう食べないんですのぉ?」
「うん…。
ルナを捜してくる」
「お兄様っ…!?」
「っ紅覇、もうやめなさいっ!」
「え…?」
紅明が、勢いよく立ち上がった。
紅玉も、紅覇から目を離せない。
「もう諦めなさいっ!!ルナ殿はっ……もう、生きているかどうかすら…」
「…は?」
紅明の言葉に、紅覇の中でなにかが切れた。
ルナのことは…どうでもいいっていうの?
「なにそれ…酷いよ明兄っ」
「っ?」
「ルナは生きてるよっ…絶対に生きてるからっ!!
僕は信じてるっ!!だから諦めないで捜すんだよっ…
ルナが見つかるまで…っ───…」
「お兄様っ!??」
睡眠不足、栄養不足…。
体力的に限界だった紅覇は、その場で倒れた。