第11章 ありがとう…。
チリ──ン……
「……ぇ」
はっきり聞こえた、懐かしい鈴の音…。
じわりと、視界が歪んでいく。
「…ルナ…?」
戻ってきたの…?
帰って…きたのっ?
約束……守ってくれたんだ……っ
「っ、ルナっ!!」
僕は、首輪が置いてある机に駆け寄った。
「……~っ」
ポッ…と、テーブルに涙がこぼれ落ちる。
何度も見ていた、鈴の傾いている向き。
角度が、変わっていた。
「~っ…ルナっ…」
やっと…戻ってきた…帰ってきたっ…
首輪を手に持ち、それを握りしめる。
「…ぇり……ルナっ…」
もう…待たなくていいんだ…。
「おかえり、ルナっ…!!!」
───『ただいま…』。
そう、聞こえた気がした。
── E N D ──