第7章 最悪の事態
「…は」
「いい考えでしょう?
真っ白なこの子を、真っ黒に染め上げるの。
綺麗だと思わない? 素敵だと思わない?
白が黒に変わったら。
ふふ……ルナちゃんに似合うように…そのルフを、綺麗な闇色に染めてあげるわ…っ!!」
瞬間。
玉艶の瞳が大きく開かれ、黒くなった。
まだ収まらない咳を繰り返しながら、ルナは薄く目を開けて、そんな玉艶を見上げる。
…私…黒くなるの…?
真っ白だって言われてるルフも…真っ黒になるの…?
この髪も…?
紅覇がせっかく… "綺麗だ" って言ってくれた、この髪も黒くなるの…??
『~っく』
嫌だ…嫌だよ…
紅覇に嫌われたくない…
白い髪のままがいい…
白いルフのままがいい…
黒くなりたくない…
嫌だ……っ
目尻に溜まっていた涙が…
ポツ…と、地面に落ちた。
「母上」
「…だぁれ?」
「っ!?」
『…ぁ──…』
怪しい笑みを浮かべる玉艶から目を反らし、声がした方にゆっくりと視線を動かす。
『…っ、く…りゅ…』