第7章 最悪の事態
ズ…ズ…と、変な音が廊下に響いた。
その音は、紅覇が手にしている如意練刀からだった。
どんどん大きくなっていく如意練刀が気になったのか、玉艶は少しだけ、後ろを見る。
「…勝てるとでも思っているの?弱者のくせに」
「なに、怖いの?
安心してよ、少なくともお前は殺さないから。ルナが戻ってくれば、僕はそれでいいんだ。」
玉艶からは、笑顔が消えている。
もちろん、紅覇からも…。
やめて…やめて紅覇…っ
喧嘩しないで、戦わないでっ…
紅覇に怪我してほしくないよ…
死んでほしくないよ…
2人から出ている殺気に押されながら、ルナは強く思った。
助けてほしい…
でも、戦ってほしいわけじゃない。
我が儘かもしれない。
でも、そうしてほしい。
意識が朦朧としていくルナは、ただ祈り、願うことしかできなかった。
「今すぐにルナを離したら、何もしないけど。
どうする?」
ジュダルと喧嘩した時より、たちが悪いかもしれない。