第7章 最悪の事態
「もう終わったよぉ?」
「っ!?」
玉艶の後ろから、紅覇の声が聞こえた。
私は、その瞬間に涙があふれ出る。
来てくれた…紅覇…。
『っ…こぉ、はっ』
空中に浮かんでいる両足を、残っている力でパタパタと動かす。
「何してんのさ、僕のルナに」
『っ』
怖い。
紅覇に、初めてそんな感情を抱いた。
いつもの、優しくて明るい声ではなく…
地に響くような、低い声…。
本当に、紅覇なの?
思わずそう思ってしまうくらい、別人のような声だった。
でも玉艶は、そんな紅覇の声を背中で聞いても、表情一つ変えずに笑った。
「あら、遊んでいただけよ?
ふふっ、何を勘違いしているのかしら。ほら、ルナちゃんも楽しそうでしょう?」
『こ、はっ…ぅ』
「悪いけど、全っ然たのしそうに見えない。」
「まあ、どうしてかしら。こんなにも楽しそうなのに」
「今すぐにルナを離せよ
その手首を失いたくなかったら」