第7章 最悪の事態
「…あら、なんて可愛らしいのかしら」
『っ』
俯きながら振り返ったら、彼女に顎を持ち上げられた。
そのせいで、嫌でも顔を見られる。
「ふふ…紅覇が気に入るわけだわ」
クスクスと笑いながら、「美しいものねぇ?あなた。」と首を傾げた。
…首が痛い。
無理やり上を向かせられているため、首が痛くなってきた。
紅覇に会いたい…
首の痛さを我慢しながら、ルナはそんなことを思った。
「猫の姿になれるのでしょう?
私に見せてくださいな」
『ぇ』
そんな…魔法を使ってるわけでもないのに、簡単に猫になれるわけがない。
「嫌?それとも…」
『はぅっ…!?』
「私のことが、嫌いだから?」
突然黒くなった玉艶の眼が、ギロリとルナを睨む。
その直後…
『ぐ、うぅっ…!!』
顎のところにあった玉艶の手が、首に回った。
ギュッと力強く掴まれ、息が苦しくなる。
無意識に、首もとにある彼女の手首をつかんでいた。
「あら。
小さいから、ちゃんと抵抗できないのね?可哀想に…」
優しい言葉をかけられているはずなのに、笑っているその表情は酷く冷たかった。
紅覇っ……
「たすっ…て…っ」