第2章 僕の猫
「そりゃあ…」
「邪魔にはなるけどよぉ…一度拾っちまったもんは、なかなか捨てらんねーんだよ。人間と違って、ネコっつーのは寿命が短いからな。」
「ふーん。」
じゃあお前、もうすぐ死ぬんだ?
商人の言葉を聞いて、また猫に向き直る。
そして、心の中でそう呟いた。
すると猫は、ゆっくりと目を閉じて──
「…?」
頭を少し、下げた。
…なに?
何かお礼言ってるの?
…お礼なんてされること、してないんだけどー
「…ああ、撫でてほしいのー?」
『…』
猫は、鳴かないものの…
代わりに喉を鳴らした。
「へぇ、そいつが他人に喉を鳴らすなんてなぁ」
「なに、今までなかったのー?」
「ああ。一度も、な。」
なんでだろう…
喉を鳴らすのが、どういう感情を表しているのかわからないけれど…
紅覇は、なんだか嬉しかった。
無言でネコを撫で続ける紅覇と、
撫でられて喉を鳴らし続けるネコ。
そんな二人の間に、商人の声が響いた。
「喉を鳴らしてるっつーこたぁ…小僧、そいつはお前に懐いたんだよ」