第2章 僕の猫
「ネ~コ、子猫~」
ネコと目線を合わせるようにしゃがみ込む。
「?おい、誰だよこのガキ」
「その猫に触りたいんだと。」
頭上で、商人の会話が聞こえる。
でも紅覇は、お構いなしにその猫に夢中だった。
「おまえ、名前はー?」
ネコの頭を撫でながら、僕は首を傾げる。
『…』
当然、ネコは答えない。
でもそれが何故か、紅覇には楽しく思えた。
「ないのー?可哀相だねぇ、おまえ。」
青い目に見つめられながら、紅覇は微笑む。
ネコって、こんなに可愛いんだー
初めて知ることだった。
「僕がつけてあげようかー?」
『…』
「おい、やめろよ小僧。」
「えー、なんで?名前がないって、可哀相じゃん」
「そいつは名前なんざいらねーんだよ。所詮、捨てネコだ。」
「…捨てネコ?」
ガキ扱いする商人は今、捨てネコと言った。
言ったよね?
「じゃあ、なんで売らないのー?商売の邪魔にならないの?」
だから僕は、逆に聞き返した。