第2章 僕の猫
「飼われてるのかなぁ」
「商人の足元にいるので…飼われているのではないでしょうか」
「へー」
ネコだから、今どんな気持ちなのかはわからない。
でも…なんだか…
んー…なんか、なぁ。
つまらない人生を送ってきた。そんな目をしている気がする。
「…」
「ねえねえ、そこのオジサン。」
「ああ?なんだよ小僧」
「うわ、小僧って酷いなぁ。」
商人の1人に近寄り、声をかけたのはいいものの…
ガキ扱いされてしまった。
ムカつくなぁ。
だけど、ここは町中。
コイツを殺すところを完全に見られてしまう。
僕は珍しくも、その衝動をグッとおさえた。
「あの子猫ー」
「…あ?」
「売ってるの?」
「いや、あいつは売りもんじゃあねーよ。」
「ええ?そうなの?」
「ああ。」
なんだー。
つまんないの。
飼ってみたかったのに、あのネコ。
「触ってもいいー?」
「あ?」
「え、お、皇子様っ…!?」
「お召し物が汚れてしまいますっ…」
「いいよ別に、気にしなーい」
あのネコに触れるなら…
もうどーでもいいや。
「…まあ、触るくれぇなら…いいぜ。」
「ありがとねー」
そう言うオジサンに笑いかけて、すぐさま子猫のもとに向かう。