第5章 彼女のため
「ごめん…ね…痛かったよねぇっ…」
『っだ、大丈夫だよっ…紅覇が私を守ってくれたおかげで、肩以外は怪我してないしっ…紅覇がいるからもう痛くないよっ』
紅覇が泣くから…。
紅覇が、強く抱きしめるから…。
私も泣いて…
私も、紅覇を強く抱きしめる。
「もう絶対に…二度とっ、ルナに痛い思いはさせないからぁっ」
『紅覇っ』
「だからっ…ずっと側に、いてよぉ…ルナっ…」
『っ、うん…ずっと側にいるよっ?紅覇の側にいるよっ…!』
隠す必要は、無い。
私と紅覇の間には、境界線も…壁もなにも無い。
自分の気持ちに、嘘はつかない。
ねぇ、紅覇───。
私ね……好きだよ…。
大好きだよ、紅覇のこと…。
今まで生きてきて…
いろんな人に拾われて、飼われてきたけど。
あなたほど、私を愛してくれた人なんて…
今まで見たことがないよ…。
会ったことがないよ。
すごく…幸せなの、紅覇といると…。
だから、ね?
さっき、ジュダルに傷つけられて…最初は、すごく痛かったけど…
紅覇がすぐ立ち上がって…私のために、ジュダルと本気で戦おうとして…。
心の底から、嬉しいって…思えたの。
あんな気持ち…初めてだったよ…?