第5章 彼女のため
『こ、は…?』
ギュッと、紅覇はルナの腰を強く抱きしめた。
ルナは、そんな震える紅覇にやさしく触れる。
「ごめっ…ルナッ…」
『こーはっ?』
「守ってあっ…なか、たっ…」
『紅覇っ』
私のお腹に顔を埋めながら、紅覇は謝ってくる。
やめて…
違う…違うよ紅覇…
『紅覇はなにも悪くないよっ?私うれしかったよっ、紅覇が守ってくれたんだもんっ』
「守れなかったよっ!ルナを傷つけちゃったでしょぉっ…!?」
『私のために怒ってくれたじゃないっ!』
まだ震えている紅覇の頭を、両腕で抱きしめた。
すると、紅覇の動きが止まった。
『……っ?』
「…」
なにも喋らない紅覇。
不思議に思ったルナは、紅覇のキレイな髪をなでながら、小さく首を傾げた。