第5章 彼女のため
『…私、大丈夫だよ…?』
まだ乾ききっていない白い髪が、顔に張り付いて邪魔くさい。
でも、それをいじらずに…
ルナは両手を使って、紅覇に触れる。
『ほら、見て?怪我したところも、お薬塗ってもらったし…お風呂にも入ってきたんだよ』
「…」
『全然、痛く…ない、よ……っ?』
紅覇の頭を撫でている手が、ふと止まる。
『…紅覇…?』
紅覇の顔が、ルナのお腹に埋められて…
紅覇の両腕が、ルナの腰に回されていた。
『どうしたの…?』
遠慮がちに、聞いてみる。
すると…
「…………っ…め、ん…」
『ぇ』
シン…と静まり返る部屋に、小さく響いた。