第5章 彼女のため
~ルナside~
『にゃあ~…』
宮廷内をさ迷い歩くルナ。
紅覇の部屋に行きたいけれど…
ここ、どこ?
お風呂場で氷を溶かし、怪我の治療をし終わった彼女は、
あの後すぐに部屋に戻ってしまった紅覇のことが、気になって仕方がないのだ。
『紅覇ぁ…』
どんなに歩いても部屋にたどり着けない。
ルナの目に、うっすらと涙が滲む。
走ったり歩いたり…と、疲れて座り込もうとするルナ。
と、そのとき。
「ルナちゃん?」
『っ!?紅玉ぅう~っ!!!!!!(泣)』
「きゃあっ!?」
夏黄文と共に歩いてきた紅玉が、立ち止まっているルナに声をかけた。
直後、彼女は紅玉に勢いよく抱きつく。
「ど、どうしたのよぉ?ルナちゃん…」
紅玉は、驚いて倒れそうになりながらも
ルナの背中を優しく撫でる。
『う、うっ…紅覇のお部屋がわからないのぉっ…!!』
「え、紅覇お兄様のお部屋?」
涙と鼻水でグチャグチャな顔をしたルナ。
泣きながらも、紅玉に伝えた。