第5章 彼女のため
「身方同士の争いなど、醜いですよ」
「今すぐにその武器をしまえ、紅覇、ジュダル。」
「炎兄っ!?」
「紅炎、邪魔すんなよっ!」
「邪魔をしているのではない。止めているのだ。」
ジュダルの後ろから、紅炎と紅明が歩いてきた。
2人は争いを止めようとするが、紅覇とジュダルは怯まずに2人をにらみつける。
「ルナを傷つけたんだよっ!?許せるわけないじゃん!」
「ジュダルは間違ったと言っているだろう。」
「っ普通はさぁ、確認してから攻撃するよね!?おかしいんじゃないのジュダルくんっ!?」
「うっせぇな何なんだよテメェッ!?いい加減にしろよっ!!」
紅覇とジュダルがまた、言い争いを始めた。
すると、奥で泣いている紅玉が目に入った。
紅炎は、その腕の中にいて、息苦しそうにしているルナに、ゆっくりと視線を移す。
「…紅覇、」
「っ、?」
「見ろ。お前がそんなことをしている間に、ルナは苦しんでいる。」
「ぁ…」
「早くあの氷を溶かさねば、ルナは死ぬぞ。」
ルナが……死ぬ…?
二度と…会えなくなるの…?
…嫌だ…嫌だよ、そんなのっ…
「嫌だっ…ルナっ…!!」