第5章 彼女のため
「ジュダルくん、わざとなんじゃないよねぇ?」
「んなわけねーだろ?猫が人間になってりゃ、誰だって間違えるだろ」
「でもさぁ?ちゃんと確認しないジュダルくんって…」
そう言って、如意練刀を持つ両手が大きく振りかぶられ…
「す~っごく悪い人だよ、ねっ!??」
杖を構えるジュダルに向けて、その如意練刀は落とされた。
ドーンッと、壁や地面が壊れる破壊音が、国中に響き渡った。
そのことを、紅覇とジュダルは知らない。
「…チッ、卑怯だよっ」
「はぁ?どこがだよ」
ジュダルは防壁魔法で、紅覇の攻撃をふせいでいた。
「だいたいさぁ、重罪を犯したのに、その制裁を受けないなんて…おかしいんじゃない?」
「なにが重罪だよっ?なに言ってんだお前?間違ったって言ってんだろ、さっきからっ!?」
「ふんっ。ほらぁ、見てよ、ルナが苦しんでるでしょっ?あの痛みをおまえにも味わわせてあげるって…言ってんのっ!!」
と、紅覇がさらに如意練刀を大きくした、その時。
「そこまでだ」
「あ?」
「っ、何だよもうっ!??」