第11章 ありがとう…。
数日後。
ある日の夜のこと。
「ルナ、おいで~」
『…ん、ん~…紅覇ぁ』
部屋の電気を消し、ソファーで眠っていたルナを一端起こした。
そして、ベッドに来るように促す。
すぐに目を覚まし、紅覇の隣に横になるルナ。
『ふふ…紅覇、あったかい…』
「うん…」
気持ちよさそうに、ふにゃりと顔を歪めるルナ。
不意に、ルナの頭を撫でる。
『……紅覇、』
「っ、なにぃ?」
突然、今まで眠そうな顔をしていたルナが、悲しそうな顔に変えた。
『…あのね、お願いがあるの…』
夜風に揺れる、カーテンの隙間から漏れている月明かりに照らされながら、ルナは片手で、紅覇の左頬にそっと触れた。
「なに?言ってよ」
久しぶりに見る、ルナのしっかりした表情。
紅覇も、自然に真剣になった。
『……あの、ね…』
「?」
滲みだしたルナの目が、夜の海のように輝く。
『…ねぇ、紅覇…
…私のこと、好き…?』