第10章 帰国
~ルナside~
「ど、どど、どどうして、シンドバッド様がここにぃっ…!!?」
「あはは。いやぁ、ルナをどうしても見送りたかったのでね」
顔を真っ赤にさせて、泣き出す紅玉。
ルナは、すぐにわかった。
紅玉……シンのこと好きなんだぁ。
「ひゃああああっ…!!」
両手で、真っ赤な顔を隠した紅玉。
シンドバッドはただ微笑み、
ジャーファルは苦笑い、
マスルールは…無表情。
ルナはポカーン。
すっごく好きなんだね…。
私と紅覇みたいっ!
そう思えるのは、たぶん……ルナだけ。
「ルナっ!!!」
『っえ?』
突然、そう遠くないところから紅覇の声が聞こえてきた。
思わず私は、振り返る。
そこには…
『こう、はっ…』
「はあっ、はあっ、」
息を切らす、愛しい愛しい紅覇の姿があった。
「ルナっ」
『紅覇あっ!!』
私は走り出した。
同時に、紅覇もこっちに向かってくる。
1メートル、また1メートルと、私と紅覇との距離が縮まるスピードが、ものすごく遅く感じて…
近づくたびに、好きが溢れる。
耳の横で揺れる髪と、
チリンチリンと鳴り響く鈴の音が、今はうるさく感じる。
紅覇との距離が、あと2メートルになったとき。
紅覇が腕を伸ばした。