第10章 帰国
~紅覇side~
「っ」
『ぅ~っ』
ルナの匂いがする…
ルナの鈴の音がする…
ルナが…
「ルナっ」
『紅覇ぁっ』
ここにいるって…僕の腕の中にいるって、感じられる。
強く、強く抱きしめて…
ルナが潰れちゃうんじゃないかっていうくらい強く抱きしめて…
1ヶ月ぶりのルナに触れる。
「どこ行ってたのぉっ!?ずっと…ずーっと探してたんだよぉっ!!」
『ごめっ、ん…ごめん、紅覇ぁっ』
「心配させないでよおっ!!」
涙が枯れるくらい、泣いてやる。
潰れちゃうくらい、抱きしめてやる。
耳に「飽きた」って言われるくらい、愛してるって言ってやる。
それは、全部…
今日だけ。特別なんだからねぇ…?
「っ、もう、二度とっ…僕から離れないでっ」
『ヒック、うんっ…!』
少しだけ伸びた真っ白な髪を、ゆっくりと撫でる。
嗚呼…ルナがここにいる…。
やっと、僕のところに帰ってきた…。
「…愛してる、ルナ…」
無意識に、口から出た。
ピクッと、小さく反応したルナは、綺麗な青い目を細めて……
『私、も…っ、愛してるよ、紅覇っ』
背伸びをして、僕の唇にキスをした。