第10章 帰国
~紅覇side~
──その頃。
「……」
眠れずに、ベッドの上でごろごろしている紅覇。
仰向けになって、おでこに腕を乗せて考える。
…ルナがいなくなって、早くも1ヶ月がすぎた。
でもまだ、見つからない。
帰ってこない。
「…っ」
まさか本当に…
明兄が言ったように、もう "居ない" の?
もう二度と…ルナには会えないの…?
会いたい…今すぐに会いたい…
抱きしめたい…キスしたい…
あの綺麗な白い毛に、髪に…触れたい…
海みたいな青い目を見つめたい…
「ルナっ…」
滲んできた視界を閉ざすように、目元に腕をずらした。
そのとき。
ガチャッ!!
「紅覇様ぁっ!!」
「っな、なにっ!?びっくりしたんだけどー」
いきなり、純々たちが慌てて部屋に入ってきた。
ノックくらいしてよねぇ
「はぁっ、はぁっ、お、起きてくださいましっ!!紅覇様あっ!!」
「っ起きてるってば!!
なに、何なのぉ?みんなして慌てちゃってさぁ」
気付けば、宮廷の外もわずかに騒がしいようだ。
みんな、何に慌てているのか…紅覇はまったく分からない。
…泣き声も聞こえるしぃ。
「お、お早くっ、門のところへっ…!!」
「はぁあ?」
「ルナ様がお戻りになったのですうううっ!!!(泣)」
「……ぇ」
嬉し涙を流す純々たち。
僕は……僕も…
ベッドから飛び降りた衝撃で、涙がこぼれ落ちた。