第10章 帰国
──それからは、シンドリアでの思い出づくりのために、遊びほうけた。
煌帝国に帰れる嬉しさと、シンドリアを離れる寂しさ。
その二つで、胸がいっぱいで…
泣いたり、笑ったりを繰り返した一週間。
シンドリア出国の日。
港に、シンドバッドと八人将が見送りに来ていた。
『…短い間だったけど、今までありがとう、みんな!』
青い目に涙を浮かべながら、ルナは満面の笑みで言った。
すると、
「寂しい、寂しい」と泣き叫ぶヤムライハとピスティ。
「もう帰るのかー」と頭を撫でるシャルルカン。
「お元気で」と微笑むスパルトス。
「また来い」と言ってくれるドラコーンとヒナホホ。
「俺たちもついて行くぞ」と言うシンドバッド。
……え?
『え、え?つ、ついて行くっ??』
シンドバッドの言葉に、ルナは目を見開いた。
「一人では帰らせられませんよ。煌帝国の方に、いろいろ事情をお話しなければなりませんし…」
笑顔で頷いてばかりで、何も言わないシンドバッドの代わりに、ジャーファルが言った。
「私と、シンとマスルールの3人で、煌帝国まで付き添います。」
『で、でも…忙しくないの?』
「はい、大丈夫ですよ。」
相変わらず笑顔のシンドバッドと、真顔で頷くマスルールと、優しい微笑みを浮かべるジャーファル。
ルナは、胸が温かくなった。
『ありがとう…っ』