第9章 私の一人旅
「あ、ルナちゃん」
『ん?』
小さなタオルを持ってお風呂場に行こうとしたら、ヤムライハに呼び止められた。
「それ、取らないの?」
『…あ、忘れてたっ!』
ヤムライハの言う "それ" 。
「とても大事な物なんでしょう?」
『うんっ!紅覇に貰ったの』
紅覇の髪と同じ色の…首輪。
チリン…と音を鳴らしながら、首輪を外す。
「でも…何だか、縛られてる感じじゃない?」
『ううん、全然。
寧ろ、嬉しいよ?…紅覇と、繋がってるみたいで…。』
「そう…。いいわね、そういうの」
『えへへっ』
照れながら、ルナは風呂場へ走っていく。
「はぁ~…今日も疲れたわぁ」
2人で、温かいお湯に浸かる。
ヤムライハは肩まで浸かっているものの、
ルナは……泳いでいる。
『ぷはっ!…今日は何してたの?』
顔を真っ赤にしながら、お湯から上半身を出す。
「…ジャーファルさんの手伝い」
『…そっか』
「まったく…王はどうして仕事しないのかしら…」
『いっつもサボってるよねっ♪』
「そうなのよ…」
『んー…シンがいつも、何してるか教えてあげようか?』
「…知ってるの?」
『うん。いつもなのかは、わからないけど…』
「教えてくれない?」
『ふふっ…………女官さんにナンパ』
バシャッ!!
『!…ヤムライハ?』
いきなり、ヤムライハが立ち上がった。
水(お湯?)飛沫が、ルナに降りかかる。
「…信っじらんないっ!!」
『へっ?』
「はぁ…ルナちゃん。体、洗いましょ?」
『…う、うん…?』
ボキボキと指の骨を鳴らしながら、黒い笑顔でシャワーのところに行った。