第9章 私の一人旅
『~っ』耳が痛い…
「に、人間じゃ…ないのっ!?」
「猫人間…ですかね…」
「すっげぇ…」
「普通の少女にしか見えないっス」
「ハーフ?ハーフッ?」
「どうりで小さいわけだ…」
「魔導師の一族でしょうか」
「その可能性があるかもしれん」
「それにしても、初めて見たぞ」
ヤムライハ、ジャーファル、シャルルカン、マスルール、ピスティ、シンドバッド、スパルトス、ドラコーン、ヒナホホ…。
一気に言われて、ルナの頭は混乱状態になる。
「ま、まあ、それは良しとしてだな」
苦笑いで、シンドバッドが話を変える。
「…ヤムライハ、ルナの肋骨はどんな感じなんだ?」
「っはい、左側の一本に、小さくですが…ヒビが入っているそうです。」
「ヒビ、か……折れてはいないんだな?」
「ええ。」
『…煌帝国に、帰りたい…』
ふむ…と、考え事をするシンドバッド。
ルナは不安になり、俯いた。
すると、シンドバッドが…
「痛い、のか?」
『にゃ?うーん…少し苦しいけど、あんまり痛くはないかな…』
《(…にゃ…w)》
「そうか……うーん…触っていいか?」
『うにゃっ!??』
「「駄目ですっ!!」」
「はい…」
ジャーファルとヤムライハに、怒られたシンドバッド。
ルナは悟った。
この人……
近寄っちゃダメな人だっ…!!
「ゴホンッ!!…えーっと、とりあえず、だな…ルナ。」
『…っ?』
「その怪我が、完治するまで…煌帝国に帰すことはできない。」
『ぇ…』
「ヒビが入っている、ということは、折れる手前と一緒だ。もし、煌帝国に帰っている途中に折れたりしたら…大変なことになる。」
ルナにとって、今まで見たことがなかった真剣な表情のシンドバッド。
自然に、ルナ自身も真剣になる。
『…どれくらい、なの…煌帝国に帰れないのって…』
「っ、2ヶ月は、安静にしていないと…」
『…2ヶ月…』
ヤムライハが、悲しそうな顔で遠慮がちに言った。
2ヶ月も…紅覇に会えない…。
抱き付けない…キスできない…
ルナの青い目に、じわりと涙がにじんだ。