第9章 私の一人旅
「…っ…し、」
『?』
「シ~ンんん゙ん゙ん゙ん゙ん゙~っ!!!!!!」
「そんなっ…煌帝国の宮廷の子だったなんてっ…そんなっ…!」
『っ??』
シンドバッドの名前を叫びながら、その場を走り去っていくジャーファルと…
ルナから手を離し、自分の両頬に手を添えて、あたふたするヤムライハ。
ルナは、何が何なのかわからなかった。
「っな、何て言ったらよいかっ…申し訳ありませんっ!!今の今までご無礼をっ!!!」
『え?えっ??』
勢いよく、頭を下げた。
態度が打って変わったヤムライハに、ルナは動揺を隠せない。
…偉い人(?)だって、勘違いされてる…?
そうとしか考えられない。
『あ、あの…』
「申し訳ありませんっ!!!」
『ちょ、ちょっと待ってよ、ねぇっ?私は別に…』
「隠さなくても宜しいですっ!!本当に、気づかずに…申し訳ありませんん~っ!!!」
もう何を言っても聞いてくれなさそうだ。
私…別に、偉い人じゃないのに…。
そう。全く偉くなどない。
偉いの"え"の字もない。
ただの紅覇のペットだ。
ある日、町でたまたま拾われた猫だ。人間だ。猫人間だ。
偉くなんてないのにぃ…
いつまでも謝りつづけるヤムライハに、困り果てるルナだった。