第7章 秘密の花園/前編
待ち時間に苛立つ謙信様をなだめながら外で10分ほど待っていると、
「佐助くん、お待たせ!四人席が空いたからお連れ様もどうぞ… って、あれ?」
俺たちを呼びに店から出て来た莉菜さんがさっそく信玄様に反応する。
「信さん!お久しぶりですね」
「やあ、姫。元気そうで何よりだ。相変わらずハッとするほど美しいな」
「っ!もう、またそんな冗談…」
「冗談なんかじゃない。んー どうしたら信じてもらえるかな?」
信さん…??
信さんって呼ばせてたのか。
なんとなくモヤモヤして、親しげに会話をする二人の中にグイと割って入る。
「莉菜さん、紹介する。今まで流しの行商人と言って会わせていた彼は真田幸村。で、君が信さんと呼んでいた人は幸村の主君の武田信玄様だ」
「えーーー!?そうだったの!?」
「姫、黙っていて悪かった。色々事情があって正体を隠してたんだ」
「っ、声がでけえ。あー… 俺も嘘ついて悪かったな」
先に莉菜さんと少なからず面識のある二人から本名を明かさせてもらった。
問題は…ーーー