第7章 秘密の花園/前編
「あの信長が自分の気に入りの女をそうやすやすと渡すとは思えねえし、秀吉も色々うるせぇこと言いそーだし」
「だろうな。もちろん折を見て莉菜さんを貰い受けたいと直談判しに行くつもりだけど」
自分も団子を食べながら頭を悩ませる。
「偏屈で喧嘩っ早くて物分かりの悪ィ極端に妹想いな兄貴が六人いるみてーなもんか…」
「そうだな。なるべく敵将を刺激しないで事が運ぶよう、策を練ってみる」
「おー、そうしろ。つーか今日の夜 宴って知ってたか?」
「宴?」
「お前に良い伴侶が出来た祝いだと。信玄様が言い出した。宴と聞いて謙信様も嬉しそうにしてたぞ。まぁあの人は呑めたらいいってだけかもしれねーけど」
「そうなのか、ありがたい」
後になって謙信様と信玄様が軒猿や三ツ者を使ってまで俺を尾行していた話も全部聞いたけれど全く腹は立たなかった。
結果的にこうして上司や友人に祝福してもらえることは俺にとって何よりの救いだ。
今日はいつもより呑んでみよう。
ちょっと羽目を外したい… そんな気分だった。
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