第6章 星降る夜に愛を誓う/後編
(……ああ。失敗した)
信玄様ほど恋のメンタルは強くない俺が信玄様の真似ごとをするなんて無謀過ぎた。
断られたときのショックは計り知れないのに、莉菜さんの優しい気持ちを利用して あわよくば、なんて…
ハッキリ拒絶される前に、もうこの辺で切り上げよう。
変な冗談言ってごめんって、きちんと謝れば許してく…ーー
「そんなのでいいの…?」
顔を真っ赤にした莉菜さんが一歩俺に近づく。
「…え」
「本当に佐助くんが、それでいいなら……」
!!
「それがいい」
夢を見てるのだろうか…ーーー
信じられない気持ちのまま、間髪入れずに返事をする。
すると莉菜さんが また一歩近づいて……
「わかった。じゃあ、少し屈んでもらってもいい?」
俺の左腕に、そっと両手を置いた。
「これくらいで大丈夫?」
言われた通りに少し身を屈める。
「うん…」
心臓が激しく鼓動し始め、息が若干苦しい。
莉菜さん、
君こそ本当にいいのか?
信玄様には頼まれてもキスしなかったのに、
俺にはどうして。
まだ完璧な自信を持ち切れない俺に莉菜さんが寄り添い、さらに距離が縮まっていく。
「佐助くん… お誕生日、おめで……」
莉菜さんの唇が頬に触れるか触れないかの瞬間…ーーー