第6章 星降る夜に愛を誓う/後編
「え…?今、何て?」
そんな俺に、莉菜さんが目をまん丸にして食いついてきた。
「え?」
「佐助くん今、誕生日って言わなかった?」
「…? ああ、うん。本日4月10日は俺の二十●歳の誕生日」
莉菜さんは一呼吸置いたあと、
「えーーーッ!!!」
目の前に山は無いけど、こだましそうなくらいの大声で叫んだ。
「どうしよう、知らなかった!ほんとに知らなかった!」
莉菜さんが慌てふためく。
「莉菜さん落ち着いて。言ってなかったんだから知らなくて当たり前だ」
「でも…!ごめんね、手ぶらで来たから あげられる物が何も無いの」
「ほんとに気にしないで。俺は今日 君のおかげですごく楽しかったし幸せな誕生日だった。表情に出ないから分かりづらいかもしれないけど」
「うーん…」
説得するも、まだ納得できない様子で莉菜さんが考え込む。
莉菜さん…
俺なんかのために、そんなに……
「そうだ!いま私に出来ることで何かプレゼントできないかな?肩揉みとかどう?」
「肩揉みか…」
星空の下で莉菜さんに肩を揉んでもらう。
いいかもしれない。
(けど…)
そこでふと、
下衆(ゲス)い考えが頭に浮かぶ。
下衆い上に、これはある種の賭けだ。
でももう、
これしか残された道は………