第6章 星降る夜に愛を誓う/後編
しばらく進むと小高い丘に出た。
何にもない だだっ広い場所だけど、そのぶん開放感に溢れている。
「着いたよ」
丘の真ん中で佐助くんがゆっくりと私を地面におろす。
「ここは…ーー」
キョロキョロして周りを確認する。
でも私達の他には誰もいない。
「今日は君をどうしてもここに連れて来たかったんだ」
「え? 何かあるの?」
「ある。まだだけど」
まだ、と言われてあれこれ頭をひねってみる。
単なる夜のお散歩…ってわけじゃないのかな?
「とりあえず少し休憩しよう。お茶とお菓子を持って来た」
佐助くんは そう言って大きな風呂敷をバサッと広げた。
「莉菜さん、どうぞ座って。そのままだと足袋が汚れるから」
「ありがとう、失礼します」
そう言えば私、草履を履いてなかった!
レジャーシート代わりの風呂敷に上がらせてもらって ちょこんと座る。
「これお茶。あと、お菓子はたいした物じゃないけど…」
横に座った佐助くんが、背中のリュックからお茶、あと忍者の携帯食にもなるというお団子を出してくれた。
「これ佐助くんの手作り!?」
「うん、そう」
「そうなんだ…! 頂きます… あ、美味しい」
「良かった」
黒ゴマ風味のお団子は ほんのり甘く、もちもちしていてすごく美味しい。
佐助くんて、もしかしてお料理とかできるタイプの人なのかな…?