第5章 星降る夜に愛を誓う/前編
「そうそう佐助くん!私よく分かってないんだけど、今日はどこかへ行くの…?今から?」
莉菜さんに促され、今日の目的を思い出す。
「あ… そうだった。うん、今から出かけよう」
「わぁ、ほんとに!?」
両手をグーに握る莉菜さん。
嬉しそうだな。
行った先でも、君に喜んでもらえるといいんだけど……
「でも、大丈夫かな?誰かに見つかったりしたら」
「大丈夫、策は色々考えてある」
そう言って、俺は部屋にあった座布団を丸め始めた。
そして…
「ごめん、ちょっと失礼」
すでに部屋に敷かれてあった布団の中に座布団を突っ込む。
「佐助くん、もしかして…」
「一応、君が布団に寝てる風を装っておこうと思って」
座布団のお陰で こんもりと布団が盛り上がり、あたかも人が寝ているかのように見える。
「なるほど!こうしてれば安心だね」
「そう、万が一 誰か入って来ないとも限らないから……」
言いながら、俺は先日 自分が仕出かしたこと(覗き&不法侵入)を思い出していた。
あれは今思い出しても本当に冷や汗ものだ。
莉菜さんの受け止め方次第では、俺のランクが『友達』の座から『ただの変態』に一瞬にして格下げされても不思議じゃなかった。
「さすがに夜中は誰も入って来ないけどね〜 女の子の部屋だし… ふふふっ」
「そう、、だな。でも念のため」
あれ…?
莉菜さん、俺が夜中に侵入した日のことは忘れてるのか?
噛み合わない会話に少し引っかかるけど、それ以上を聞く勇気もなくてそのままスルーする。