第5章 星降る夜に愛を誓う/前編
このルールを決めたのはいつだったか。
佐助くんが私の部屋を訪問してくれた際に私が不在だった場合、手紙を残してくれることになっている。
でも部屋の中に無造作に置いておくと誰かに見つかるといけない。
だから文机に目印となる『花』を置いて、天井裏に手紙があることを知らせてくれることになっていて。
で、手紙は読んだらなるべくすぐに燃やす。
燃やす一番の理由は証拠隠滅のためだけど、
燃やした時に起こる煙が狼煙(のろし)代わりとなり、読んだことを佐助くんに知らせることもできる。
本当はもらった手紙は全部大事に取っておきたいんだけど…
でも、佐助くんとの繋がりがバレないようにするためには仕方がない。
だからこうして………
…………
「はぁ、切ないな……」
ため息混じりに呟いたその時。
「何が切ないの」
…!?
「えっ!」
声に驚いて勢いよく振り返ると、すぐ後ろに家康が立っていた。