第4章 男子会・春日山城城下の大衆食堂に於いて
(ぱんぱんぱんぱん)
その時、
緊迫した空気を破るように手を打ち鳴らす音が聞こえてきた。
「はいはいはい、そこまでなー。謙信、刀を仕舞え」
「…チッ」
信玄様に制されて、謙信様が舌打ちしながらしぶしぶ刀を鞘に納める。
???
な、なんだあ?
この、妙な小芝居のような雰囲気は……
「佐助、大丈夫か」
「何とか…」
信玄様に声をかけられ、佐助も刀を戻す。
ほんとに何なんだ、一体。
「佐助の気持ちは よーくわかった。だが、さっき彼女を友人と言っていたな。ということは、まだお前の気持ちは伝えてないんだよな?」
「……はい」
「謙信は俺がちゃーんと説得しておくから、お前はきっちり彼女に想いを伝えるんだ。彼女は魅力的だから、早くしないと本当に他の誰かに持って行かれるぞ?」
「…っ、はい。ありがとうございます……」
「よし、善は急げだ。今からでも安土へ向かいなさい」
「信玄様……」
「さあ 行くんだ佐助」
信玄様に促され、佐助は深々と一礼したあと姿を消した。
俺はその様子を魚臭をさせたまま ただポカンと見てた。