第4章 男子会・春日山城城下の大衆食堂に於いて
「でもな、その後がまた面白い」
「…何ですか」
!?
まだ続くのかよ、
いい加減にしてくれ。
一度質問した手前、引くに引けない佐助が不憫でならねー
「彼女、俺に礼を言うためペコペコ頭を下げながら歩いてたんだが… 足元を良く見ていなかったのか水溜りにはまってしまってな。着物は無事だったが、足袋も草履もびしょ濡れだ」
まさか…
「それで……どうしたんですか?」
「そりゃあ勿論、俺が近所の履物屋ですぐさま新しい草履を買ってきてあげたさ」
うーわ。やっぱりな。
「ふ、さすがは信玄様。やることがいちいちダンディですね」
だ、だんでい?
やべぇ、
無意識で わけわかんねー言葉使ってやがる。
はぁ…
なんかもう、飯の味がしねえ。
「"こんな高価な草履頂けません"と彼女はずっと遠慮し続けてたが、俺の押しに負けて最後には受け取ってくれたよ。そういう慎み深いところも彼女の魅力なんだよなー」
「ふふふふふ」
佐助…
ついに壊れたか……
「で、さらにその後だ。草履を受け取った彼女が今度は俺に"何か御礼をしたい"と言い出してな。礼なんて不要だといくら言っても聞かなくて。ははは」
「………」
…そうだ、そのまま無視してりゃいい。
耐えろ佐助!
「で、どうした」