第1章 臆病な恋心
「え…?うん、楽しいよ。すごく勉強になるし!」
「本当に?」
「ほんとだよ。佐助くんの専門知識とか… 好きな物の話を聞くのは楽しいの」
「それはどうして?参考までに聞かせて欲しい」
「どうしてって……」
ちょ、
佐助くん、やけにグイグイ来る…!
その真っ直ぐな視線に耐えきれなくなり、ついに自分の目が泳ぎ始めた。
『どうして』
そんなの、佐助くんが好きだからに決まってる。
好きな人の好きな物には興味があるし、できれば私も詳しくなりたい。
それに…お話してくれる時の佐助くん、
生き生きしてて楽しそうで、すごく魅力的なんだよ。
でもごめんね。これ以上は…
「っ、佐助くん、近い近い」
「あ、ごめん」
「ううん…」
…びっくりした。
妙に真剣に質問された気がする。
その理由が良くわからなくて、考えを巡らせる。
すると ばつの悪そうな顔で佐助くんがポツリと呟いた。
「まきびしの話なんて、今まで誰も興味を持ってくれなかったから」
…!
「俺のマニアックな趣味話に君を無理に付き合わせてるんじゃないかってちょっと心配になって。問い詰めるような聞き方してごめん」
「い、いやいや、そんな…!」
首を横にブンブン振って、精一杯 否定する。